26
らない、あの世で合う最初の難関です。死者はこの三途の川を渡り、彼岸の地に着くと、いよいよここから、 十万億土の闇路(やみじ)の先へ、一人で旅発って行くのです。

 これだけの旅を果たさなければ、人々は再び人間に、生まれ代ることは出来ません。
 なのに、今の世の人々は、なんと言う不様でしょうか。
 創造(ぬし)の仕掛けた、約束事を果たす素振りもなく。怠慢の日々に明け暮れています。

 自我と自我がぶつかり合って作り出した、巨大な欲望の渦が、地球上を覆い尽くし、大地を恐ろしい勢いで破壊し ています。この横暴は、世の中の道理や摂理まで潰し、自我が欲する欲望のままに、化石燃料を使い捨て、CO2を まき散らし、原子力で出た放射能を垂れ流し、極悪非道の物欲のために、人々の心は潰れ、正気まで無くなってしま いました。そのために、山は枯れ、川は汚れ、砂漠を広げ、氷河を溶かし、海や宇宙に、ゴミをまき散らしている のです。この前代未聞の大悪人の正体が、私達一人一人の「(われ)」だったのです。 人間はこの愚行を何と言い訳するのでしょうか。
 いいえ、もう引き下がることは出来ません。人類は遂に、地球と共に消滅する、核戦争の土壇場に立ち至ってしまいました。

 この人間界の実状に、地獄の鬼もあきれ果て、責め(さいな)める手を忘れ、 優しさ見せる一瞬は、これこそ「地獄で仏」です。

 これほどまでの大罪を犯した人々が、どうやって、彼岸を渡ると言うのでしょうか。

 この世の中で、人間が良いと考えて作り出した、地球上の総てが、目先だけの一時の豊かさを作り出すものであり、人類の未来永劫の安泰のために、叡智を尽くして考え られたものではありません。咽もと過ぎればたちまち牙をむきだし、害毒をまき散らし、恐ろしい幣害ばかり


次へ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33   次へ


トップに戻る