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 しかし性根玉は、「・・・」無言でした。

 「おい、性根玉それじゃ困るのだよ。何とか言えよ。」

 「・・・・・」でも性根玉は応えません。

 「チェッ、俺がお前に代わって、面倒見てやっているから、なんとか人間でいられるのだ。感謝することは有って も、無視は無いだろう。」

 「・・・」

 でも、やはり性根玉は、答えませんでした。
 ですから自我は、(わめきたい)と思いました。でも、もう気力が有りませんでした。
 「馬鹿らしい。おい性根玉どうすりゃいいのだ。こんなんじゃ、どうにもならないじゃないか。」と、自我は窮してしまいました。
 すると、涙が頬を伝わって落ちて来ました。
 「俺が頑張って、お前がするべき自分をやっているから、人間で居られるのだ。俺はどうすりゃいいのだ。」と言って、自我は黙ってしまいました。

 するとまた、涙が頬を流れ落ちてきました。
 それでも性根玉(しょうねったま)は、何も言いませんでした。
 ただ、窓外から差し込む日の光が、輝いていました。

 どんなに立派な偉い人でも、どんなに非道な悪い人でも、性根玉は同じです、何時も腹中


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