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ん。しかし人々の腹中深くに「独り善がりのうぬぼれ」が鎮座する限り、沸き起こってくる死への恐怖 は、自分の意志では、打ち消す事はできません。迫りくる死への焦燥感の中で、お亡くなりに成ったのではないでし ょうか。
 何故なら、どんなに偉い立派な学者でも、母から生まれた、「唯我独尊」の人だったからです。

真実(十)

 昔読んだ本に、こんな一説がありました。
   かわいい同胞(はらから)が、
   己が小さき理知の迷いで
   (くら)き死の国、黄泉(よみ)のくにへ
   (あえ)ぎあえぎ()ちて行く
   苦しい姿を見るに堪えぬ
      ・・・・・・・・?

 「きのう見し人、今日はなし、明日はわが身も、人に問われん。」  読み人知らず。
 人々は何を恐れているのでしょうか。なぜ人々は、人生に足掻(あがく)のでしょうか。

 「咲きて散る、花のさだめの美しく、きょうその色を、我が見たりけり」    古歌
 「木に刻み,絵像に書きし、弥陀は弥陀、書かず刻まぬ、弥陀はいずこに」   古歌
 「三界の行く手に(しるべ)、無けれども、ときめく藤はさかさまに咲く」     母の歌


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