「オーガンジー」 とは、元来は綿製品で擬麻加工された光沢のある、硬い感じの薄地で透けて見える織物のことを指します。経・緯とも100番以上の細い糸で織った平織りの布で、シルクのほかにナイロン、アセテート、レーヨン、ポリエステルなどがあります。    

 [透華布」はシルク100 %の薄いオーガンジーを「久游染め」という独特な絞り染めで模様を表現しています。 オーガンジー特有のしなやかさと張りがあり、僅かな風にもそよぎます。


製作秘話

     当初は綿ローンの薄い生地を「衝立」用に開発し、裏表の模様を変えて重なりの面白さを追求していました。 衝立は自由に置き場所を替えられる良さがある反面、値段も高く意外に置く場所を選びます。

     そんな事から布による間仕切りが出来ないものかと、素材をいろいろ追求してきました。「久游染め」は染色の条件から木綿・麻の素材しかできないものと思い込んでいました。しかし必要性からどうしても木綿・麻よりも光沢があってシャリ感があり、透けた時の優雅さのあるシルクオーガンジーで染めたいとの思いがありました。

 染色中に液の中に手を入れて、畳んだ布の襞の中にも染料が入るようにしてやる必要から、80度以上の高温で染める絹用の染料はこの技法には不向きだと敬遠していました。

 試行錯誤の末に染料の吸収・定着の方法が見つかり、どうにか開発に成功しました。また、オーガンジーは糸に強い撚りが掛けてあり、張りがあって皺になりにくい反面、それが絞り加工をやりにくくしています。
 布をたたんで模様を出すのに、畳んだ布に折り目が付かず非常に難儀しました。

 模様に沿って縫い締めて染色し、乾燥させて再度縫い加工を施します。これを何度か繰り返すことで目的のイメージまで持っていきます。制作途中は中が見えず、ほとんど勘に頼って染めます。一発勝負に近いところがあります。

 データが有っても微妙な違いがあり、その積重ねによって出来上がりが違ってきます。ただ複数の同じものを染めるときは、全く同じ条件で同時進行で染色するため同じものを作る事ができます。

 そんな訳でこのシルクオーガンジー「透華布」は大量生産が出来ません。使う目的から考えても「色・サイズ・枚数・設置の方法」など一定ではないため、注文を受けてから制作する受注生産の方法をとっています。
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