梵字は古代インドの総称で、サンスクリット(梵語)を表記する為にブラフマン(梵)によって作られた文字であり、後に中国に伝わりました。
紀元前三世紀ごろのアショーカ王の時代に作られたブラーフミー文字(漢訳が梵字)が四世紀ごろにグプタ型文字となる。
六世紀に入ってシッダマートリカー型とナーガリ型などの派生型が生まれ、シッダマートリカー型は悉曇(しったん)と呼ばれた。
遣隋使小野妹子が最初に持ち帰り、その後日本に伝来した悉曇文字の基本形となった。
中国に渡った後、唐代中期に密教経典の訳出が盛んに行われて発展していきました。
当時中国ではすでに紙が使われ、毛筆・木筆を用いて中国風の書写様式となっていきます。
日本には804年に弘法大師・最澄が入唐して以来、入唐八家によって862年までのおよそ60年の間に伝えられました。
この中国風の梵字が平安中期から後期にかけて盛んに研究されました。
遣唐使が廃止されるようになり、次第に日本の漢字書道や万葉仮名筆法を取り入れた独自の梵字(和様梵字)が生まれました。
江戸初期になると様々な流派が誕生し、明治四十年代後半になって梵字の活字体といわれる書体が完成しました。